【コミュニケーション・言語発達障害(SLI)とは?】“話さない”のではなく“話し方がわからない”子への正しい支援ガイド

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1. はじめに

コミュニケーション・言語発達障害(SLI / 発達性言語障害)は、「言葉がなかなか出てこない」「質問にすぐ答えられない」「会話が続かない」といった特徴が見られる発達障害の一種です。周りからは「恥ずかしがり屋」「わざと黙っている」「考えていないだけ」と誤解されがちですが、決して怠けているわけではありません。

頭の中では理解できていても、「言葉として組み立てる」「適切な表現を選ぶ」といった言語処理がうまくいかず、伝えたい気持ちと言葉の間に“タイムラグ”が生まれるのです。

大事なのは、「話さない子」ではなく、「話すためのステップが必要な子」として関わることです。本記事では、SLIの子への支援を「家庭」「学校・園」「感情面」の3つに分けて紹介します。


2. 支援の大原則

2-1. 「そのうち話せる」ではなく「話せる方法を教える」

困りごとNG対応正しい支援
質問しても黙ってしまう「なんで答えないの?」選択肢を2つに絞って聞く(りんご?バナナ?)
伝えたい言葉が出てこない代わりにすぐ親が答える「○○のこと?」「こう言いたいのかな?」と補助する
会話が一言で終わる「もっとちゃんと話して」「それでどうなった?」「楽しかった?」と質問をつなげる

2-2. 正確さよりも「伝わったこと」をほめる

言い間違いや文法の誤りをすぐに直すのではなく、「伝えようとした気持ち」を評価することが大切です。


3. 家庭での支援

3-1. 言葉を引き出す声かけ例

NGな声かけ正しい声かけ
「ちゃんと話して」「ゆっくりでいいよ」「言葉じゃなくても指さしでもOKだよ」
「もっと説明して」「どこで?」「だれと?」「楽しかった?悲しかった?」と質問を分ける
「ありがとうは?」「ごめんねは?」「“ありがとう”って言うと相手が喜ぶよ」と理由も添えて教える

3-2. 絵・写真・ジェスチャーも立派なコミュニケーション

  • 写真アルバムや絵カードで「今日はどれが楽しかった?」と選ばせる
  • 「言えない時はジェスチャーOK」にしておく
  • 家族内で“サイン”を決めても良い(「のどかわいた」「もうやめたい」など)

4. 学校・園での支援

4-1. 発表やスピーチの配慮

  • いきなり「みんなの前で発表して」は負担 → 「先生と2人で」「紙を見ながら」「録音でもOK」にする
  • 発表が苦手な子には「役割を変える」:読む係ではなく“指差し係”や“絵を見せる係”にする

4-2. 友達とのやりとりの支援

状況サポート例
友達の会話に入れない教師がさりげなく間に入って「○○ちゃんも昨日○○したんだって」とつなげる
トラブル時に言い返せない「いやだ」「やめて」の練習をロールプレイで行う
一人で遊びがち「一緒にできる遊び」を大人がセッティングする(カード・ブロックなど)

5. 感情面のサポート

5-1. 「話したくない」のではなく「どう言えばいいかわからないだけ」

黙っている子に対して「無視しないで」「返事くらいしなさい」は逆効果です。

  • 「考えてるんだね。ゆっくりで大丈夫」と“待つ姿勢”を見せる
  • 先にこちらが「○○のことかな?」と予想してあげる

5-2. 代弁しすぎず、でも放置もしない

親や先生が全部言ってしまうと、子どもが発言しなくても通じる環境ができてしまいます。
→「◯◯って言いたいの?」「ここまで自分で言ってみようか」と、一部だけ補助するのが理想です。


6. まとめ

コミュニケーション・言語発達障害(SLI)の子は「話さない子」ではなく、「話し方を学ぶ順番が必要な子」です。

  • 自然に話し始めるのを待たず、「伝えやすい形」をこちらがつくる
  • 言葉以外の手段(指さし・絵・ジェスチャー)も立派なコミュニケーション
  • 正しい表現より「伝わったこと」をほめる

大人が「話せない子」ではなく「話す力を育てる途中の子」として接することで、子どもは安心して自分の気持ちを表現できるようになります。

このブログについて
ぽんたの子育て応援室
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子育ての困りごと専門ブログ|発達・感情・声かけサポート
「怒りたくないのに、つい怒ってしまう…」 「この行動って発達の特徴?どう対応すればいいの?」 そんなママ・パパの「どうしたらいい?」に寄り添う 子育て応援ブログです🌱 ● 発達・感情・ことばの困りごとの解説 ● 叱らない声かけ・おうちでできる支援例 ● 絵本・ぬりえ・癒し系キャラクター「ぽんた」の発信も📚 子どもも大人も「できない」じゃなく「やり方を学ぶ途中」。 一緒にゆるっと前進していきましょう😊
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