【知的発達症(知的障害)の子どもへの接し方】言葉が通じない・指示が通らないときの具体的支援ガイド

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1. はじめに

知的発達症(知的障害)の子どもは、「言葉の理解がゆっくり」「生活の手順を覚えるのに時間がかかる」「年齢より幼く見られる」といった特徴があります。周囲からは「わかっていないわけじゃないのに、なぜできないの?」「甘えてるだけでは?」と誤解されることもありますが、これは努力の問題ではなく、脳の発達のペースがゆっくりなだけです。

大切なのは、「できない」ではなく「理解に時間がかかる」「方法を変えればできる」という視点で接することです。本記事では、知的発達症の子どもへの具体的な関わり方を「言葉・指示の伝え方」「生活スキルの支援」「感情面へのサポート」の3つに分けて紹介します。

2. 知的発達症支援の大原則

2-1. 「言葉でわかったフリ」を見抜く

知的障害の子は、相手の表情を読んで「わかったふり」をしてしまうことがよくあります。

大人の声かけ子どもの返答本当の理解度
「わかった?」「うん」実は理解していないことが多い
「できる?」「できる」できなくても言ってしまう

そのため、「わかった?」ではなく「じゃあどうすればいい?」と聞き返し、理解を確認することが重要です。

2-2. 指示は「短く」「順番を区切って」「視覚化する」

  • ❌「自分で準備して早く出かけるよ!」
  • ✅「① 服を着る」「② 靴下を履く」「③ カバンを持つ」など一つずつ伝える
  • 絵カードやスケジュールボードを組み合わせると一気に理解しやすくなります

3. 家庭での接し方

3-1. 生活スキルを「練習」ではなく「習慣」で覚えさせる

知的発達症の子どもは、「教え込む」より「毎日同じ流れで繰り返す」ことで覚えます。

生活動作教え方のポイント
歯みがき動画や歌で順番を覚えさせる/鏡の横に手順表
トイレ「行きたくなったら」ではなく「時間を決めて連れていく」
着替え前後・上下の識別が難しい子には「前=マーク」「タグ=背中」など印をつける

3-2. できたらすぐに褒める

褒められても「照れて反応しない」子もいますが、必ず心の中では嬉しいと思っています。「できた瞬間を逃さず即座に褒める」ことが自己肯定感の土台になります。

4. 学校・園での支援

4-1. 集団指示では動けない子には「個別で確認」

  • 授業中に「みんなノートを出して」と言われても動けない場合があります
  • その時は「〇〇くんもノート出そうね」と目線を合わせて個別に伝えると通じやすいです

4-2. 活動が切り替わるときは「視覚合図」を使う

  • 「今から片付けます」では動けない子も、「片付けマーク」「ベル」「歌」で動けるようになります

5. 感情面へのサポート

5-1. 失敗が続くとすぐに自信を失ってしまう

知的障害の子はできない経験が多いため、「どうせ自分はできない」という学習性無力感に陥りやすいです。

  • 「できそうな課題」から始めて成功させる
  • 失敗したときは「まだ」「そのうちできるようになるよ」と将来形で励ます(NG:「なんでできないの」)

5-2. 癇癪が出るときは「言葉で気持ちを表せないだけ」

  • 「嫌だ」「悔しい」「疲れた」を表現できないため、泣く・叩くなどで訴えてしまう
  • 「〇〇が嫌だったんだね」「疲れたって言えばいいんだよ」と【気持ちの言い方を教える】ことで徐々に落ち着きます

6. まとめ

知的発達症の子どもは「できない」のではなく「理解できる方法と時間が必要」なだけです。

  • 理解していないのに「うん」と言うことがある
  • 指示は1つずつ・視覚で見せる
  • 生活スキルは練習より習慣づけ
  • 褒めるタイミングは「できた瞬間」
  • 癇癪は「言葉にできない気持ちのサイン」

大人が「まだできないだけ」と見守る姿勢こそが最大の支援です。焦らせず、比べず、一つ一つの成功を一緒に喜べば、子どもは必ず成長していきます。

このブログについて
ぽんたの子育て応援室
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子育ての困りごと専門ブログ|発達・感情・声かけサポート
「怒りたくないのに、つい怒ってしまう…」 「この行動って発達の特徴?どう対応すればいいの?」 そんなママ・パパの「どうしたらいい?」に寄り添う 子育て応援ブログです🌱 ● 発達・感情・ことばの困りごとの解説 ● 叱らない声かけ・おうちでできる支援例 ● 絵本・ぬりえ・癒し系キャラクター「ぽんた」の発信も📚 子どもも大人も「できない」じゃなく「やり方を学ぶ途中」。 一緒にゆるっと前進していきましょう😊
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