【「やる気がない」わけじゃない】LD(読み書き・計算が苦手な子)への具体的支援と声かけ例

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1. はじめに

学習障害(LD)は、「知的な遅れはないのに、読み・書き・計算など特定の学習だけ著しく苦手」という特性がある発達障害の一種です。周囲からは「頑張っていない」「サボっている」「不注意なだけ」と誤解されることが多く、本人は努力しても成果が出ずに自己肯定感を失いやすい傾向があります。

大切なのは、「やればできる子」ではなく「やり方を変えればできる子」として関わることです。本記事では、LDの子どもへの具体的な支援方法を「読みが苦手」「書きが苦手」「計算が苦手」の3タイプに分けて紹介します。

2. LD支援の大原則

2-1. 「努力不足」ではなく「認知処理の特性」

LDは根性ややる気の問題ではありません。脳の処理方法が違うため、一般的な教え方では情報が入ってこないのです。

困りごと間違った理解正しい理解
何度読んでも内容を理解できない集中していない視覚情報処理が弱く、文字が記号に見えている
字がマスにおさまらない・鏡文字になるふざけている空間認知や運動プログラムの問題
繰り上がり・繰り下がりで詰まるサボり数の「まとまり概念」が頭でイメージできていない

2-2. 「できる方法」に変えれば成果が出る

LDの子は「見て覚える」「聞いて覚える」「動かして覚える」など認知スタイルがそれぞれ違います。一般的な方法でできないだけであり、「自分に合う学び方」に変えれば一気に伸びることがあります。

3. 読みが苦手(ディスレクシア)の支援

3-1. 音読が苦手な子への接し方

  • 無理に「音読しなさい」とは言わない(苦痛が強く逆効果)
  • 朗読アプリ・読み上げ機能(タブレット・音声ペン・Google読み上げ)を活用する
  • 「目で追うだけ+耳で聞く」の併用が理解を助ける

3-2. 教材を「縦書き→横書き」「明朝体→ゴシック体」などに変える

  • 字体やレイアウトによって文字の認識しやすさが変わる
  • 行間を広くするだけで読みやすくなることもある

4. 書きが苦手(ディスグラフィア)の支援

4-1. 書字を強制せず「代替手段」を与える

困りごと支援方法
文字がマスに入らない「太いマス」「枠付きノート」などを使う
書くのが遅くて授業についていけない「板書免除」「プリント配布」「タブレット入力」
漢字が覚えられない書いて覚えるより「カード」「アプリ」「連想イラスト」

4-2. 運筆トレーニングは「遊び感覚」で

  • 書き順だけの練習は苦痛 → 迷路・ぬりえ・なぞり絵などで筆圧や手の動きを鍛える

5. 計算が苦手(ディスカリキュリア)の支援

5-1. 数を「見えないまま覚えさせない」

  • 暗算より「物を動かして数を感じさせる(ブロック・おはじき)」
  • 「10は5と5」「7は4と3」など「まとまり」単位で覚えさせる
  • そろばんアプリ・数直線・ビジュアル教材を活用する

5-2. 暗記より「理解型」へ切り替える

  • 「九九が覚えられない子」は、「九九表を見ながら使う」方が早く定着する場合がある

6. 学校・園での支援

6-1. 「書かせる・読ませる前提」ではなく「理解できる方法を提供する」

  • 授業中に「読む役」「書き役」を当て続けるのはNG
  • 「読むのが苦手だから聞き役に回る」「代読者をつける」など配慮する

6-2. テストは「内容理解」を評価する形に調整する

  • 書きではなく「選択式」「口頭回答」でも理解度は測れる

7. まとめ

LDの子は「やる気がない」のではありません。「自分に合わないやり方で苦しんでいるだけ」です。

  • 読めない子には「聞く+見る」の併用
  • 書けない子には「板書免除・ICT・プリント」
  • 計算が苦手な子には「道具を使って数を見える化」

「努力させる」のではなく、「できる方法に変える」。それだけで、今まで苦しんでいた子が一気に自信を取り戻します。

LDの支援は「頑張らせる」ではなく「理解を助ける」ことが基本です。

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ぽんたの子育て応援室
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子育ての困りごと専門ブログ|発達・感情・声かけサポート
「怒りたくないのに、つい怒ってしまう…」 「この行動って発達の特徴?どう対応すればいいの?」 そんなママ・パパの「どうしたらいい?」に寄り添う 子育て応援ブログです🌱 ● 発達・感情・ことばの困りごとの解説 ● 叱らない声かけ・おうちでできる支援例 ● 絵本・ぬりえ・癒し系キャラクター「ぽんた」の発信も📚 子どもも大人も「できない」じゃなく「やり方を学ぶ途中」。 一緒にゆるっと前進していきましょう😊
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