【発達性協調運動障害(DCD)とは?】不器用・運動が苦手な子への正しい支援ガイド|家庭&学校でできる対応例つき

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1. はじめに

発達性協調運動障害(DCD)は、「運動が極端に苦手」「手先が不器用」「服を着る・ボタンを留めるのが遅い」「縄跳びや鉄棒ができない」などの特徴が見られる発達障害の一種です。周りからは「ただの不器用」「練習していないだけ」「やる気がない」と誤解されがちですが、努力不足ではありません。脳と体の連携がうまくいかず、指示された動きを頭でイメージすることが難しいのです。

大事なのは、「運動神経が悪い子」ではなく、「体の使い方を学ぶにはステップが必要な子」として関わることです。本記事では、DCDの子どもへの支援方法を「日常動作」「運動」「学校生活」の3つに分けて紹介します。

2. DCD支援の大原則

2-1. 「不器用だからやらせない」ではなく「やり方を分解して教える」

困りごとNG対応正しい支援
服の着替えに時間がかかる「早くして!」動作を一つずつ区切って教える(頭→腕→ボタン)
ハサミがうまく使えない「危ないから貸して」線の太いガイド入りの紙・スプリング式ハサミを使う
縄跳びが飛べない「練習が足りない」足踏み→縄を回す練習→ジャンプの順に分ける

2-2. 成功体験の積み重ねが最優先

DCDの子は「できない経験」が多く、自信を失いやすいです。まずは「簡単にできる課題」から始め、「できた!」を体に覚えさせることが重要です。

3. 家庭での支援

3-1. 手先の不器用さを楽しく鍛える遊び

  • ねんど・スライム・スポンジ遊び(握力・指先感覚を鍛える)
  • 洗濯ばさみ・ピンセット遊び(つまむ力)
  • レゴやブロック(組み立て動作)
  • トングでお菓子をつかむ「お菓子屋さんごっこ」

「勉強」ではなく「遊び」の形で鍛えると嫌がりません。

3-2. 着替え・生活動作の支援

動作サポート方法
ボタンが留められない大きめのボタンの服で練習 → 徐々に小さく
靴ひもが結べないゴム靴紐・マジックテープ靴に変更
歯みがきが難しい電動歯ブラシにする/手を添えて一緒に動かす

4. 学校・園での支援

4-1. 体育・運動での配慮

  • 鉄棒・縄跳び・跳び箱は「見本を見ただけでは理解できない」ことが多い → スロー動画や分解指導が有効
  • 「みんなの前でやらせる」より「練習用コーナーを分けて個別練習」
  • 球技が苦手な子には「柔らかいボール」「転がし遊び」から始める

4-2. 授業中の負担軽減

  • はさみ・のり・工作が遅い子には「枠線入りプリント」や「事前カット済みプリント」を用意する
  • ノートがぐちゃぐちゃになる子には「マス目の大きなノート」や「罫線ガイド」を使う

5. 感情面のサポート

5-1. 「できない」ことを笑われた経験がある子ほど慎重になる

「やりたくない」「疲れた」と言って逃げる子もいますが、それは弱さではなく「笑われたくないだけ」です。

  • 「できなかったら途中でやめていいよ」「一緒にやってみよう」と安心させる
  • 「うまくいかなかったけどチャレンジしたのがすごい」と挑戦を評価する

5-2. 比較は絶対にNG

  • 「〇〇ちゃんはできてるのに」→ 自尊心を傷つけるだけ
  • 「昨日より上手くできたね」→ 正しいほめ方

6. まとめ

発達性協調運動障害(DCD)の子は「できない」のではなく「うまく体を動かす方法をまだ知らないだけ」です。

  • 動作を分解して教える
  • 成功体験を積ませる
  • 「遊び」で鍛える
  • 無理にやらせず、比べない

大人が「不器用な子」ではなく「丁寧に教えれば伸びる子」として接することで、子どもは自信を取り戻していきます。努力ではなく「やり方の工夫」が支援の鍵です。

このブログについて
ぽんたの子育て応援室
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子育ての困りごと専門ブログ|発達・感情・声かけサポート
「怒りたくないのに、つい怒ってしまう…」 「この行動って発達の特徴?どう対応すればいいの?」 そんなママ・パパの「どうしたらいい?」に寄り添う 子育て応援ブログです🌱 ● 発達・感情・ことばの困りごとの解説 ● 叱らない声かけ・おうちでできる支援例 ● 絵本・ぬりえ・癒し系キャラクター「ぽんた」の発信も📚 子どもも大人も「できない」じゃなく「やり方を学ぶ途中」。 一緒にゆるっと前進していきましょう😊
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