【ASD(自閉スペクトラム症)の子どもへの接し方】空気が読めない・こだわりが強い子への家庭と学校での支援ガイド

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1. はじめに

ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、「空気が読めない」「こだわりが強い」「予定変更にパニックになる」などの特性が見られます。しかしこれは怠けやわがままではなく、脳の情報処理の特性です。つまり「困らせている子ではなく、困っている子」。大人の接し方や環境を少し変えるだけで、ASDの子は安心し、驚くほど落ち着きと成長を見せます。

本記事では、ASDの子どもへの接し方を「家庭」「学校・園」「パニック時」「得意を伸ばす方法」に分け、今日から実践できる方法を紹介します。

2. ASD支援の大原則

2-1. 視覚支援(見える化)

ASDの子は「耳で聞く情報」より「目で見る情報」の方が理解しやすい傾向があります。口頭で何度言っても伝わらないことが、イラスト1枚や表にするだけで伝わることも少なくありません。

  • 朝の支度は「やること表」を冷蔵庫に貼る
     例:①トイレ → ②顔を洗う → ③ごはん → ④着替え → ⑤ランドセル
  • おもちゃや服の収納場所に写真・ラベルを貼る
  • 「あとどれくらい?」を可視化するために、砂時計や視覚タイマーを使う

2-2. 予告・スケジュールで安心させる

ASDの子は「突然の変化」に強い不安を感じます。予告なしの切り替えはパニックの原因になります。

  • ❌「そろそろ帰るよ」 → ✅「あと5分で帰るね。タイマー鳴ったら帰ろう」
  • ❌「今日は休みだから病院行くよ」 → ✅「朝ごはんのあと病院→終わったらジュース買おうね」
  • 絵スケジュールや「今日の予定ボード」を使えば安心が倍増します

3. 家庭での接し方

3-1. パニック時の対応

パニックになっているときに叱っても逆効果です。まず安心させることが最優先です。

NG対応OK対応
「なんで怒ってるの!?」「落ち着きなさい!」「びっくりしたね」「嫌だったね」と共感
押さえつける・無理に移動安全を確保し、少し距離を置く
泣き止ませるために物で釣る落ち着いてから「どうして嫌だった?」と振り返る
  • 部屋の隅やクッション、毛布など「安心できる場所=セーフティースポット」を決めておくと効果的です

3-2. こだわり行動への対処

こだわりを禁止すると反発します。まず受け入れた上で「折り合いをつける」形にします。

  • 「同じ服しか着ない」→ その服を2〜3枚買っておく
  • 「同じ道しか通らない」→ 「行きは好きな道、帰りは別ルート」など交渉型に
  • 「何度も同じ動画を見たがる」→ 「あと3回見たらごはんね」と数字で区切る

4. 学校・園でのサポート

4-1. 指示の出し方

  • 「片付けなさい」ではなく、「机の上のものだけ箱に入れてね」など具体的に
  • 黒板の端に「今日の予定」「あと何分」を常に表示
  • プリント配布や板書が苦手な子には、事前に配る・ペアをつけるなど支援を用意

4-2. トラブル防止のコミュニケーション支援

ASDの子は「悪気はないのに嫌われる」ことが多いです。セリフを教えれば改善します。

シーン教える言い方の例
人のものを勝手に触る「見せて?って言ってから触ろうね」
遊びに入りたい「いれて?って言えばいいよ」
勝ち負けで怒る「悔しかった!って言おうね」

5. 得意を伸ばすアプローチ

  • 興味のあるもの(電車・地図・キャラクター)は「教材」にする
     例:「電車の図鑑で文字練習」「地図で算数」「好きなアニメのセリフで会話練習」
  • スケジュール管理は得意な子が多い → カレンダーアプリやホワイトボード活用
  • 「終わったらシール」などご褒美システムは非常に効果的

6. まとめ

ASDの子は「わがまま」でも「自己中心的」でもありません。「先が見えないと不安」「言葉だけでは理解できない」「変化が怖い」だけです。

  • 視覚化して伝える
  • 予告して安心させる
  • パニックは叱らずまず落ち着かせる
  • トラブルはセリフを教えて減らす
  • こだわりは教材にして伸ばす

これだけで、ASDの子との日常は大きく変わります。理解しようとする気持ちこそ、最高の支援です。

このブログについて
ぽんたの子育て応援室
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子育ての困りごと専門ブログ|発達・感情・声かけサポート
「怒りたくないのに、つい怒ってしまう…」 「この行動って発達の特徴?どう対応すればいいの?」 そんなママ・パパの「どうしたらいい?」に寄り添う 子育て応援ブログです🌱 ● 発達・感情・ことばの困りごとの解説 ● 叱らない声かけ・おうちでできる支援例 ● 絵本・ぬりえ・癒し系キャラクター「ぽんた」の発信も📚 子どもも大人も「できない」じゃなく「やり方を学ぶ途中」。 一緒にゆるっと前進していきましょう😊
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