【兄弟げんかが止まらない時】上の子・下の子それぞれへの関わり方
「毎日のように兄弟げんかで叫び声が響く」「ちょっと目を離したら叩き合い」「仲良く遊んでいたのに急にケンカ…」
兄弟・姉妹がいる家庭にとって、“ケンカ対応”は避けて通れない日常ですよね。
親としては「なんでそんなことで!?」「いい加減にして!」と叫びたくなりますが、実は兄弟げんかには子どもなりの“発達的な意味”があります。
この記事では、兄弟げんかが起きる理由と、【上の子・下の子それぞれへの関わり方】【止め方・仲直りのサポート方法】を、児童支援の専門的視点で解説します。
兄弟げんかが起きる主な原因
① 「親の愛情を確かめたい」から
兄弟げんかの裏には“お母さんはどっちの味方?”という心理があります。特に上の子は、下の子が生まれてから「愛情を取られた」と感じやすく、その不安が攻撃や乱暴な行動に繋がることがあります。
② 「自分の力を試したい」から
年齢が近い兄弟は“ライバル関係”になりやすく、「負けたくない」「自分のほうが強い」と思いたくてケンカを仕掛けることもあります。これは“自己主張の発達過程”でもあります。
③ 「言葉で気持ちを伝える力がまだ未熟」だから
「やめて」と言えないから叩く。「貸して」と言えないから奪う。つまり“暴力=言葉の代わり”になっているケースが非常に多いのです。
ケンカが始まったときの基本対応
✖【すぐに怒鳴る】
◎【まず状況を見る】
→ どちらが一方的に悪いのか、どちらも悪いのか、あるいは“じゃれあい”の延長なのかを観察します。
✖【「どっちが悪いの!」と聞く】
◎【「どうしたの?」と双方に言わせる】
→ “悪者探し”ではなく“事実確認”をする形に。
✖【「仲良くしなさい!」と押しつける】
◎【「どうしたら解決できるかな?」と一緒に考える】
→ 親が答えを出すのではなく、“解決力”を育てるチャンスになります。
上の子への関わり方
・上の子が悪くても「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから我慢して」はNG
・上の子には上の子の気持ちを必ず受け止める
・「〇〇が取られて嫌だったんだね」「ママを見てほしかったんだよね」と共感してから注意する
・上の子だけを叱るのではなく「あなたの味方だよ」と伝える時間を別で作るのも効果的
下の子への関わり方
・「小さいから仕方ない」ではなく“やられた痛み”を教えていく
・「叩かれたら痛いよ」「こうして貸してって言おうね」と具体的に練習
・下の子が甘やかされて“なんでも許される存在”になると、将来トラブルメーカーになることも
ケンカを「学び」に変える魔法の声かけ
・「叩きたくなるくらい嫌だったんだね。でも手じゃなくて言葉で言えるともっとカッコイイよ」
・「取られたらイヤだって言ってね。言えたらママも助けやすいよ」
・「どうやったら両方がニコニコになるかな?」と一緒に考える
✅ 重要なのは“解決の型”を言葉で覚えさせていくことです。
親が絶対にやってはいけないこと
✖【比べる】「〇〇はいい子なのに、あなたは…」
✖【レッテルを貼る】「また意地悪して!」「いつもワガママ!」
✖【ケンカそのものを全否定する】「ケンカは悪いこと!」
→ ケンカ自体は「コミュニケーションの練習」。完全に禁止するより「安全に終わらせる」「言葉で伝える形に導く」ほうが効果的です。
おわりに:兄弟げんかは「人間関係の練習場」
兄弟げんかは、“子ども同士で交渉力・感情調整力を育てる時間”でもあります。
大切なのは、
・ケンカを「すぐに止める」ことではなく
・「どうやって解決するか」を親がサポートすること
今日もケンカでイライラしたかもしれません。
でもそれは、子どもたちが“成長しようとしている証拠”でもあります。
完璧な仲良し兄弟じゃなくて大丈夫。
“ケンカしながら絆を深めていく兄弟”のほうが、実は強い関係になります。
